◆まもって守護月天・ショートストーリー◆

『砂漠の先の最果ての街へ』

文章:ふぉうりん、挿し絵:daic




ここは最果ての東の街。昨日雨が降った。冷たい雨だった。

「……。」

 その時俺は、あの娘の名前を呟いた。呟きは雨音にかき消され消えてゆく。冷たく降りしきる雨の中、わずかに動く手をかざし、手の平で雨粒を受け止めると、そこには冷たい星屑が混じっていた。

「……。」

 俺はもう一度彼女の名前を呟いた。

 いつからここに居たのだろう。それすらも記憶に埋没しそうなくらい、気の遠くなるような年月を過ごしたような気がする。長い夜は時の流れを忘れさせ、深い暗闇は俺から希望を奪いさっていく。俺は彼女が大好きだった歌を一人静かに口ずさむ。そうすることでしか悲しさを紛らわす術がなかったから、それが俺と彼女とを繋ぐ道標のような気がしたから。


 わたしはあのひとを探して走っていました。行方知れずとなったあのひとを探して。どことも知れぬ国から国へ、街から街へ。でも確かにわたしは感じたんです。あのひとが深い暗闇の中に迷い込んでしまった事を。わたしがいかなくては、わたしが助けなくては、きっと誰もあのひとを助けることはできない。


『あのひとを助ける。それがわたしの役目だから、だってわたしは…。』


 わたしはあなたのを想う気持ちだけで、きっとどんな場所へでも迷わずにゆける。いまだってわたしは、あなたのもとへ迷わずに、ただまっすぐに向かっているのだから。

 だから呼んで欲しい。大きな声で呼んで欲しい。わたしの名前を呼んで欲しい。そう、できることなら何度でも。きっとわたしはその声を聞いてあなたのもとへとたどりついてみせるから。

 幾つもの夜を、幾つもの街を、通り過ぎてきました。活気の無い街はわたしの目には寂しく映りました。きっとこの街の寂しさよりも、もっと深い悲しみを、もっと深い寂しさを、あのひとは抱いているかもしれない。そう思うと、わたしの足は自然により強く地面を蹴っていました。


『必ず、お助けいたします。…様。』


 どれくらいの時が流れたのだろう? わたしの思ってたよりも、道は遠く険しい。時の長さがわたしの心を挫こうとする。わたしの震える胸に、挫けないだけの勇気が欲しい。だから大きな声で、わたしの名前を呼んで欲しい。

『…!!』

 今、あのひとの声が聞こえた。わたしを呼ぶ声が。行かなくちゃ。きっとあのひとはわたしを待っている。深い闇の中できっと待っている。わたしはあのひとの傷つき疲れた心を癒してあげたい。 役目だから? いいえ、そんなんじゃない。わたしがわたしの気持で、あなたを癒してあげたいの。そう。ただ、それだけ。だからはやくあのひとのもとへ、誰よりもはやく。

 あのひとを固く縛りつけている。にぶい光の糸をこの手で断ち、切り捨てる。どんな険しい試練が待っていても、どんなに夜明けが遠くなっても、激しい雨がわたしをたたきつけても、必ずあのひとのもとへ…。



『やっと見つけましたよ。…様。』



シャオ







あとがき(むしろ言い訳万歳という噂も…)
どうも、はじめましての方は初めまして、そうでない方はこんにちわ。
晒し者のふぉうりんです。やばすぎです。書くの遅いは、クオリティ低いは、挿絵とも合うか疑わしいわで、泣くに泣けません。 『軒轅使って飛ばんかい!』とか『離珠を太助につけとけば、一瞬で場所がわかるだろ!』とか、挙げたらあげたらきりがない。突っ込みどころ満載の作品となってしまいました。 きっと支天輪がつかえなかったんでしょうね(オイ)

つーか、よくよく見ると月天SSですらないんですこれ(爆)

リクエストに答えてませんねぇ、この作品。
ではでは、めげずに次も頑張って書きます。多分

2002年2月6日 ふぉうりん





あとがき
こんにちはぁ♪daicです。
ふぉうりんさんがとってもステキなSSをつけてくださいました。 本当にいい雰囲気です。ふぉうりんさん、ありがとうございます。 私のCGは、なんか適当な雰囲気が漂いますねぇ、困ったものです(^_^;) と言うわけで、今後もこういうのを積極的にやっていきたいですね♪

2002年3月14日 daic




共同企画

ふぉうりんの借家 ふらっと☆すてーしょん






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